新規購入したUSB-ACアダプターの破損について思うこと

  • 2024/12/05 更新

先日、業務で使用するUSB-ACアダプターをコンセントに抜き差ししたところ、差込み金具の根元のパーツごと外れてしまい、非常に危ない思いをしました。
根元から破損したUSB-ACアダプターに関しては購入後はじめての使用で起きたことだったので、その足で購入店へ行って新品への交換がすぐにでき、予定していた作業を程なく再開することができました。
今回はこの件について少し考えてみようと思います。

今回の破損のケースでは、製品の出荷前に一度でもコンセントへの抜き差しが実施されていれば、不具合品は破損という形で露見するため、容易に発見ができたはずです。
では、この製品は何の検査もされることなく市場に出されたのでしょうか?
これには、出荷前に行われる検査の種類や項目が関係してくると思われます。
製品の検査には、製造したロットの全数についてその製品の1つ1つを検査する「全数検査」と、製造したロットの中から一定数の製品サンプルをピックアップして検査する「抜取り検査」などがあります。時間・コストの面からメーカー側が抜取り検査を選択している場合、私は運悪く抜き取られなかった製品に当たってしまったのかもしれません。しかし、電気を扱う製品においては不具合品がもたらすリスクを思うと、品質管理の観点からは「抜取り検査」を採択している可能性は低いように感じます。
そこで次に考えられるのが、実施された検査の項目です。当然、使用時の全ての可能性を考えて、思いつく限りの検査を実施できれば、とても高い品質の製品を世に送り出すことができます。ですが、それには製品単価には見合わない膨大な時間とコストがかかってしまうため、メーカー側では検査に必須とされる項目を選定し出荷前検査を実施するわけです。もちろん安全面に直結した検査として「絶縁抵抗試験」「導通試験」「耐電圧試験」などは実施されていると思われますが、これらの検査機器と製品をつなぐ方法はケーブルを介してワニ口クリップなどで固定することも多いため、コンセントへ抜き差しするような動作を必要としません。ですので、検査項目に単独で「実際にコンセントへ抜き差しする」という動作チェックが設けられていなかった場合は全数検査を実施したにもかかわらず不具合を検出できずに今回のような不良品が流通した可能性があります。

㈱コンテックでは、検査の際に専用の治具を作成して検査にあたることがありますが、その治具にはコンセントに差し込んだ状態で使用するタイプが多々存在します。このタイプは複数のケーブルへの数回の付け替えに比べ、一度のコンセント挿入で完結できるので作業の効率化が見込めるのが利点ですが、実際の使用環境(コンセントへの抜き差し)を再現する意味も含まれています。これにより、例え検査項目に”コンセントへの抜き差し”という項目が無かったとしても、不具合製品が市場に出回るリスクを未然に防ぐことにつながるのです。

予算の関係で全ての製品で全数検査や多岐にわたる検査項目を設けることは簡単ではないと思われます。しかし、今回私の手元で発生したUSB-ACアダプターの破損は、外れてむき出しになった2つの端子がコンセントに刺さったままで、指先から数センチの位置にありました。当然その状態で誤って触れようものなら感電事故になりますし、状況によっては短絡による発熱・発火につながり最悪の場合火災事故を引き起こします。
万一の場合に起こりうるリスクを考えると、電気を使う製品に関しては抜取り検査よりも全数検査をお薦めいたします。また、工場が海外などにあり国内ほど綿密で迅速な伝達やコミュニケーションがとりづらい場合なども、国内入荷後に次の工程に進む前に製品検査をしていただくことで、その製品の信頼性を確実なものにする有効な手段となります。

㈱コンテックでは、長年にわたる電子機器、計測機器、精密機器などの校正・修理・点検・検査業務により培った豊富な経験とノウハウとを活かした 質の高い丁寧な製品検査によって貴社の業務をサポートいたします。 是非、お気軽にお問合せください。

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