基板の不具合はこうして発見! ~出荷前検査のススメ~
- 2025/01/14 更新
精密機器に使用される電子部品や基板は、製造時や組み立て前に様々な検査を経て、良品のみが完成品に組み込まれます。
主な検査方法としては、基板上の部品や配線の異常(はんだブリッジ、部品の欠損、焼損痕など)を目視により確認する視覚的検査があり、 更に微細な欠陥を見つけるために拡大鏡や顕微鏡を使用することもあります。 また、電気的検査として基板上の特定のテストポイントで電圧や電流を測定することで正常な動作を確認したり、 マルチメーターにより抵抗・電圧・電流などを測定して異常を確認します。 更にオシロスコープにより信号波形を観測し、ノイズや信号の歪みを検出する方法もあります。 他にも「機能テスト」「ストレステスト」「熱画像診断」「非破壊検査」「X線検査」「超音波検査」などの多岐にわたる検査方法が存在し、 これらの方法を組み合わせることで、精密機器に組み込まれる電子部品や基板の不具合を効果的に検出しています。
さて、製造過程でこれだけの検査をくぐり抜け最終検査まで完了した製品であれば、あとはそのまま出荷となっても何ら問題ないように思えます。 しかし、製造からある程度の在庫期間を経て出荷されるケースや、製造工場が海外などの遠方で運搬にかなりの時間を要するケースでは、 「経年変化」や「振動・衝撃」といった最終検査完了後に発生するリスクを完全には払拭できません。 「経年変化」や「振動・衝撃」が基板に与える影響は、次のように考えられます。
基板に使用されている材料(例えば、樹脂やはんだなど)は、時間の経過とともに劣化するため、接触不良や短絡が発生する可能性があります。 在庫の保管状況によりますが、基板が温度変化にさらされることで熱膨張や収縮が繰り返され、はんだ接合部が疲労しやすくなることもあります。 製品の運搬や在庫の棚卸しなどの移動により基板が振動にさらされると、部品や接続部分に機械的なストレスがかかることで、 はんだ接合部が剥がれたり部品が破損したりすることがあります。
正常品が在庫保管中の期間に経年変化により不良品へと劣化したり、輸送中の微振動で簡単に破損する可能性は高くはないはずですが、 元から潜在的に不具合を内包していた製品であれば、最終検査時には見た目や数値的に不良とされなかったものが、 「経年変化」や「振動・衝撃」により本来抱えていた不具合を発現する可能性は十分にあります。
実際に㈱コンテックで実施した計測機器の新品出荷検査では、次のような不具合事象を確認しています。
- 内部設定の「測定レンジ」と「出力レンジ」に異常値を発見
- マルチメータによる出力値確認で異常値を検出
この製品の検査後に製造元に確認したところ、そのまま送り返すように指示いただきました。 内部設定のみの問題であれば設定値を正しく入力し直すことで対処が可能なように考えてしまいますが、 このように設定値に異常がある場合は基板自体に何らかの異常がある恐れがあるとの見解をいただきました。 この時の出荷前検査では、基板に不具合の可能性がある製品がユーザー様へ流通するリスクを未然に防いだことになります。
出荷前検査において製品の内部設定の確認や出力値チェックは、基板の不具合検出においても非常に有効です。 動作確認を行うことで、以下のような利点があります。
- 不具合の早期発見によるはコストや時間の節約
- 動作確認を行うことで製品の信頼性を高め、製品の品質も向上
基板を含めた製品の不具合検出において、出荷前検査は欠かせないプロセスですので、ぜひ積極的に取り入れてください。 ㈱コンテックでは、長年にわたる電子機器、計測機器、精密機器などの校正・修理・点検・検査業務により培った豊富な経験とノウハウとを活かした 質の高い丁寧な製品検査によって貴社の業務をサポートいたします。 是非、お気軽にお問合せください。
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